この思いを迷宮に捧ぐ
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君の唇に触れた手のひらが、まだ熱い。

恥ずかしがりで可憐な少女だった君を、いつかお嫁さんにしたいと、ずっと願っていた。

しかし、もう二度と、そんな願いを持つことは許されないのだ。

岳杜は右の手のひらに、そっと指で触れてみる。



まだ、あのはにかんだ微笑みが、今でも瞼の裏に浮かぶのに。

次第に君から笑みが消えて行くのを、胸を裂かれるような気持ちで、見ていることしかできなかった。


はじめのきっかけは、僕が不甲斐ないせいだったのだから…。



君が16歳になる年、視察のついでと称して、先の国王陛下が我が家を訪れたとき、僕は信じられないような幸運に恵まれたと思ったものだ。


独自の古い風習を残す王家では、王位継承権を得る年になると、結婚の訓練を始めるらしい。

それは、王家の乳母の家系から、家長一人を立会人として、事前に男女を引き合わせるという風習だった。
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