この思いを迷宮に捧ぐ

二階に上がってすぐのドアに、店員は呼び掛けながら入ろうとした。

「おっと。お邪魔かな?」

葵?

それが翠のここでの名前なのか、または良く似た別人なのかと、考えていたから、千砂の理解は遅れた。

開いたドアの隙間から、ソファに座る男女が見えた。


「いいや」

小さく答えたその声に、千砂は、息を忘れる。

翠。
翠の声だ。
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