この思いを迷宮に捧ぐ


翠は腕に絡み付く女の手を静かにはがす。

「そろそろお帰りだから」

ムッとした顔で女が翠を見上げるが、彼は冷たい顔で見下ろしている。

それでも女が席を立たないため、彼はため息をついた。

「結婚してるって言ったよね」

その言葉に、顔を赤くして女はプイとそっぽを向くなり、ドアにつかつかと歩いてきた。


「相変わらずモテるね~」

同行した店員の男が器用に口笛を吹いて囃した。
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