この思いを迷宮に捧ぐ
...そういうことか。千砂は再び傷つく。
翠はここでも女性を惹き付けているらしい。
ここで楽しく暮らしているのかもしれない。
もう宮殿での、王族としてそして既婚者としての堅苦しい不自由な暮らしには戻りたがらないかもしれない。
そう思っているところに、階段から頭と目だけ出ていた千砂の方を、ようやく翠が見た。
千砂は、翠がやはり随分変わったことを認めざるを得なかった。
風の国の装いのせいだけではない。日に焼けて、シャツから覗く腕にはしっかりと筋肉がついていることが見てとれる。