この思いを迷宮に捧ぐ

翠が土の国ではあまり薄着をしなかったから、千砂の目に留まらなかっただけだろうか。

翠はわずかに目を見開いた他に、ほとんど変化を見せなかった。反対に、千砂の方は、ますます動揺する。

階段を上りきったときにはもう、泣いていた。


「翠」

後でドアが閉まる音が聞こえた。


坡留が閉めてくれたなら、もう人目もないはずだ。

少し安心した千砂は、耐えられずに翠に抱きついた。
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