この思いを迷宮に捧ぐ
「よかった、無事で」
その首の、胸の体温は、翠が変わらず健康だという証拠で、千砂はさらに安堵した。
生きていてくれた。
戻らないばかりか、消息不明で連絡ひとつないのだから、悪い想像をすることもあった。いくらこれまで生き延びてきたからと言っても、これからもそうだとは限らないのだから。
翠は、珍しい千砂の涙に胸を突かれて言葉にならない。
千砂が自分の安否をそこまで心配しているとは思っていなかった。