この思いを迷宮に捧ぐ

男は、よく見れば、千砂たちをこの部屋に案内してくれた店員だった。
名前を聞き出したのだろう。人懐っこい性格らしい。

「彼は?」

千砂が男から目を離さずに問うと、翠は察したらしく、「連れて帰るか」と言った。

「颯、隣の国で働かねえ?」

「え?なにそれ、楽しい?」
「楽しい楽しい。だから来いよ」
「店長、俺ここ辞めていい?」
「ハアー!?」
「楽しい仕事が外国で俺を待ってるらしいんだわ」
「葵の一言だけでよく簡単に転職するな、お前は!」
「だって、葵がいるだけで楽しいじゃん。多分、いろんな揉め事が飛び込んでくるし」
< 442 / 457 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop