この思いを迷宮に捧ぐ
千砂は、岳杜の叔父のせいで男性不信になったのだと思っていた。

だけど、今日の再会によって、あの事件を見て見ぬふりをした岳杜も、原因のひとつだったのかもしれないと思い至ることになる。


それは、長年彼の身を案じていたことも、そして、無事であったことに安堵したものの、そのやつれた様子にいくらか不安を覚えたことも、さらには、ことによると昔の思慕のかけらのようなものまでも交じり合って、結局のところは千砂を不快にさせた。


だから、男なんか大嫌い。

そう繰り返すと、少しずつ、千砂は尖っていた気持ちが落ち着いてくるのだった。




窓際で、月の光を浴びている貴石たちに、ふと目が吸い寄せられる。


水の国には青い石。

火の国には赤い石。

風の国には緑の石。


苦労した甲斐あって、それぞれの国のイメージに合った色合いの美しい石を見つけることができた。



間もなく訪れる新年には、各国から王族や首脳などの賓客が観劇に来るのが習わしだ。

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