この思いを迷宮に捧ぐ
この辺境の地まで労を徒してやってくる彼らにとって、きらめく石は、その疲れを癒し、自国と土の国との間をつなぐ橋となるはずだ。


美砂のおかげもあって、水の国とは親密な関係をすでに築いている。

風の国とも、火の国とも、友好な関係をつなぐためには、明日の観劇が非常に重要なのだ。





幾分ぼんやりとしていたかもしれない。

千砂は、坡留が現れたことに気がつかなかった。

「陛下。風の国の賓客が、お越しです」

まだ、各国の主賓を迎える時刻までにも、間があるはずだった。千砂は首をかしげた。

「事前に少し話がしたいだけだとのことです。風汰様と名乗られました」

「ああ、会ったことがある方ね。通して大丈夫よ」


千砂は、朱理の誕生日を祝う席に同席していた彼を、すぐに思い出すことができた。

優しそうな顔立ちで、にこにこしながら朱理を見守る姿は、千砂にも好印象を残している。


坡留に連れられてやってきた風汰は、ドアの手前で立ち止まった。

< 46 / 457 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop