この思いを迷宮に捧ぐ
あの後、国王の寝室から入ることのできるあの採掘場には、地上から掘り当てた穴が見つかった。千砂は直ちにそこを塞ぎ、採掘場の上に当たる場所にも巡視を付けた。

あの採掘場に、直系の王族以外の人間が立ち入ったのは、初めてのことかもしれない。

千砂は、小さくため息をつく。

採掘場の存在は、王族の能力と同様、長い間、慎重に隠されてきたのだから。


それを知りうる立場にあり、なおかつ利用しそうな人物は一人だけ。



「陛下。お時間です」


思わず千砂が奥歯を噛み締めた瞬間、それを見計らったかのように、坡留がそう告げたのだった。



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今日に限って、芝居の演目が千砂の興味を強く引いた。

『潜伏』

新年初めての演目については、各国の主賓だけでなく、土の国の国王にさえ、「幕が上がってからのお楽しみ」なのだ。だから、千砂も、今初めて演目を知った。

いつものロマンチックな、あるいはセンチメンタルな、恋だの別れだのというフレーズがないだけでも新鮮だった。


なのに、幕が上がった1場で、度肝を抜かれた。
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