この思いを迷宮に捧ぐ

「みーつけた」

だからこそ、坡瑠はその声に殺気立った。

反対派の誰かにとうとう見つかったと思ったからだ。


「わあ、こわーい、坡瑠。物騒なモノ出そうとしてるでしょ。はい、出さない出さない」

全く緊張感を感じさせずに、黄生が近付いて来るのが見えて、千砂は複雑な気分になった。

反対派に持ち上げられることも多いが、彼自身は積極的に国政には関わりたがらない。

反対派に見つかるよりよかったのか、むしろ悪いのか、判断のつかないところだ。


警戒心を隠すことなく、坡瑠が懐に差し入れていた片手を渋々出したら、黄生は千砂の脇を通過して、ドンドンと楽屋のドアを叩いた。

え!?

千砂が止めに入る暇もなく、千砂を送り出したばかりの晁登はすぐにドアを開けてしまう。


「ヘえ、新しい座長だ」

「...あー、弟の」

晁登は、幾分バツの悪そうな顔を見せたが、すぐにいつもと変わらない様子になる。

腹をくくったのか、しげしげと遠慮なく見つめる黄生を見つめ返してこう言った。


「何か?」
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