この思いを迷宮に捧ぐ
はあ、とため息をついて、晁登は口を開いた。

「彼女の負担になることはもうしたくない。だから、国王の座なんかは論外だ」

黄生が、へぇ、と呟く。


「なら、一生愛人でいいの?」


無配慮な表現に、千砂だけでなく、晁登も硬直した。

千砂が、弟をたしなめようとなんとか口を開いたとき。



「構わない。千砂が幸せなら、遠くで見守るだけでもいい」


その晁登のきっぱりとした答えの影に、千砂は彼の思いの深さを感じた。


「いい男だね、千砂」

黄生が笑って、ようやく千砂の方を向いていた。
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