この思いを迷宮に捧ぐ
「ふうん。『万事お国のため』って感じの真面目な千砂が、そこだけは無理なんだ?」
くすりと笑って、黄生が柔らかい笑みをスッと消した。
「国にとっても、千砂にとっても損害だ」
はっきりと響く黄生の声は、深く千砂の胸に刺さった。
//////////////////
「元気がないね」
晁登の声に、千砂ははっと顔を上げた。
いつものように、晁登の楽屋の中だった。
「兄弟喧嘩?」
「...聞こえた?」
「所々ね」
どこの辺りが聞こえたのか、聞くのが怖くて千砂はしげしげと晁登の顔を見つめたが、彼は心配そうな眼差しを向けてくるだけだ。
「あまり会えなくなるかもしれないの」
小さな声で、急いで言った。
認めたくない。従いたくない。言いたくない。そんな、納得の行かない声の数々を押し込めて。
会えなくなるという言葉を噛み締めて、事実として理解しまったら、泣いてしまいそうだった。
「ん...っ」
晁登が、千砂の髪の中に両手を差し入れて、強く口付けていた。
くすりと笑って、黄生が柔らかい笑みをスッと消した。
「国にとっても、千砂にとっても損害だ」
はっきりと響く黄生の声は、深く千砂の胸に刺さった。
//////////////////
「元気がないね」
晁登の声に、千砂ははっと顔を上げた。
いつものように、晁登の楽屋の中だった。
「兄弟喧嘩?」
「...聞こえた?」
「所々ね」
どこの辺りが聞こえたのか、聞くのが怖くて千砂はしげしげと晁登の顔を見つめたが、彼は心配そうな眼差しを向けてくるだけだ。
「あまり会えなくなるかもしれないの」
小さな声で、急いで言った。
認めたくない。従いたくない。言いたくない。そんな、納得の行かない声の数々を押し込めて。
会えなくなるという言葉を噛み締めて、事実として理解しまったら、泣いてしまいそうだった。
「ん...っ」
晁登が、千砂の髪の中に両手を差し入れて、強く口付けていた。