memory
「うん。OK。えーと…ごめん。君は誰?」
自然と出てきた言葉。他に言う言葉が見つからなかった。彼女はちょこんと
首をかしげて、僕をじっと見つめている。
「私のこと、知りたいの?」
「うん。教えてよ。」
「私は、死神のシルク。」
予想外の回答だった。
「君は、受験生の僕をからかいにきたの?勉強の邪魔だよ。だから、早く家に帰ろうね。」
そう言って自分の部屋のドアを開けたが、シルクはその場を動こうとはしない。
「私は1週間帰りません。お世話になります。」
「あのさ、君、ふざけるのもいい加減にしてよ?死神さんには分からないかもしれないけど、これは、家宅侵入罪っていう人間が作った犯罪なんだよ。」
「人には私の姿が見えてる。だから通報しても恥をかくだけだよ?どうしてもっていうなら止めないけどね。」
「ならなんで僕には見えるんだよ。」
「それは、あなたには身体がないから。」
「あのね、女の子だからってなんでも許されると……。」
ガチャ。
「次元?お客さんでもいるの?」
母親がノックもせずに入ってきた。母上様、この子をどうにかしてください。
「なんだ。あなた1人じゃない。」
「なに言ってるの母さん。ここに可愛らしい女の子がいるじゃない。」
「受験勉強のストレスで、ありもしない彼女の妄想?そんなことをする暇があるなら、部屋の片付けをしなさい。」
パタン。
「嘘だろ…。」
「嘘じゃないよ。だから言ったでしょう?」
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