memory
二日目
「おはよう。次元。」
僕の真上に女の子の顔を見た。昨日彼女から色々聞いた。僕は普通に話したり、動いたり、食べたりできるけど、身体がない。8月31日までに自分の身体を見つけないと、僕は消えてしまうらしい。
僕の命は夏休みが終わると同時に終わり?冗談じゃないよ。そんなこと、予測なんかできるわけないじゃないか。
ベッドから起き上がって聞いた。
「僕は身体がないんだよね?それなのにどうして、足もあるし、他の人にも見えるし、食べたりできるの?」
「それは、あなたが稀にみる【記憶粒子】だから。」
「え…?記憶…粒子…?なにそれ。」
「幽霊が幽体離脱してる。稀に、身体がまだ生きている。いわゆる植物人間ってやつになっちゃう人がいるの。植物人間になっちゃった人が、誰かの記憶に深く住み着いていれば、その人の記憶を元に形を生成できるの。それが【記憶粒子】。」
難しいけどとりあえず…。
「つまり、俺はその【記憶粒子】ってこと?」
「あなたは知らないだろうけど、あなたが【記憶粒子】になったのは8年前。そして、あなたの存在になるのは、人の記憶の中にいる、0歳から10歳のあなた。つまり、あなたは10歳までのあなたを知っている人の記憶からできているの。今は、その記憶を削って成り立っている状態。このままだと、本当にあなたは消えてしまう。」
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