仲良し8人組
時が止まった。
息が出来ない。
身体の震えが止まらない。
「貴文君!」
「よっ、亮介!」
楽しそうに笑っている亮介の横で、真っ青な顔をして小刻みに身体を震わせているひな。
この人の。
この人の顔、……見たことがある。
初めて会った筈なのに、ひなは貴文の顔に見覚えがある。
がっしりとしたがたいに黒の短髪の頭。スポーツマンの様な爽やかな雰囲気を漂わせる貴文。
貴文の顔を見た瞬間にひなの頭に過ったのは、この世界に来る前に見ていた臨時ニュースの内容だ。
「な、……何で。……何でこんな所に」
そう漏らした声は酷く小さくて亮介には届いていない。
勝也の親戚だという貴文。
彼の顔はそのニュースで流れていた犯人の顔にそっくりなのだ。
瀬野貴文という名の犯人に。
他人の空似という言葉や、世の中には自分にそっくりな人が3人はいるというよく言うが、そうなのかもしれない。
何故なら彼は3年前に殺人犯で捕まった筈だ。
確か3人もの人を殺してだ。
瀬野貴文なわけが無い!そう思おうとしても、ひなの身体の震えは治まらない。
この場から逃げたい。
ただただそんな思いが溢れてくる。
「亮介、……もう帰ろ…」
ひなが震える手で亮介の上着の裾を少し掴むと、ツンツンと引っ張った。
それに気付いた亮介が一瞬だけ不思議そうな顔をしたが、直ぐに
「貴文君、じゃあまた」
と話を締め括る。
切羽詰まったひなの表情に、何かあったのだと確信したのだ。