仲良し8人組



サトシはフルネームを知ってる知り合いと言っていた。



パッと思い付くのは、仲良し8人組の名前と真由美くらい。後は両親。



他は、……担任だった先生。


担任だった先生なら、実家に戻ったら年賀状等が残してあった筈だ。


実家に、……帰ろう。



そう思うとスマホを再び鞄にしまい、床に手をついてゆっくりと立ち上がる。


が、その場に立ち上がったまま動こうとはしない。


何かが引っ掛かる。


黒い手紙に書かれていたように、今のひなは消えかけた存在だ。


殆どの人に見えもしないし、声も聞こえない。


正直に言えば、電話だって繋がらないのは、自分自身の存在が消えかけているから相手に繋がらないんじゃ…なんて思ってきた所だ。


でも、その考えを押し切って電話をして自分の存在が分かる人を探そうと思ったのは……。



…………一度電話が繋がっているから。



目を覚ましてから、話した人はサトシが初めてなんかじゃない。


その前に、……会話していた。


殆どの人に繋がらない筈の電話が繋がっていたんだ。


聞こえない筈のひなの声に返事をしてきたんだ。



……亮介だけは。



サトシはひなが見えて声も聞こえる相手がいると言っていた。でもそれだけ。


『神崎ひな』という人物を覚えているとは言ってない。


知り合いなんだから、覚えていて当然なんて考えが間違っていたら。


もしかしたら、知り合いの内の見える人も、見える。声が聞こえる。それだけで記憶がある訳では無い可能性だってある。


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