仲良し8人組
もしそうだったら、ひなの探しているのは昔の担任でもなんでもない。
「亮介……が?」
そう呟くと直ぐに、再び鞄からスマホを取り出した。
亮介と話さなきゃならない!
一度拒否されているのを分かっていて掛ける電話程苦痛なものはない。
それでもひなの指は亮介の電話番号を滑っていく。
もう出ないかもしれない。
その可能性だってあるって事は分かっている。
ひなの事を覚えていないのだとしたら、電話で神崎ひなと名のる女は、自分の電話番号を知っている変な女なわけだ。
ストーカーと思われてるかもしれない。
それでも、今頼れるのは彼だけなのだ。
プルルル…というコール音が3回鳴ったところで、『もしもし』という不機嫌な亮介の声が聞こえてくる。
朝にも掛けているから、また変な女からの電話だと思って不機嫌なのだろう。
それでも無視せずに電話を取ってくれるところが亮介らしい。
「あの、私、神崎ひなっていいます」
亮介にひなの記憶がないとしたら、先ずは自己紹介をしない事にはどうにもこうにも先に話が進めらない。
その自己紹介をすると共に、バクバクと早鐘を打つ心臓。
もしかしたら、今話した声が亮介に聞こえないかもしれない。
朝は話せたが、時間が過ぎた今は話せるのか?という不安が溢れてくる。
亮介の返事が欲しい!
『あのさ、名前とかもういいし。何度も電話してくるとかほんと腹立つんだけど』
聞こえてきた亮介の言葉にほっと胸を撫で下ろした。