仲良し8人組
そして、何の因果かは分からないが、亮介の一人暮らしの場所と、ひなの一人暮らしの場所が徒歩10分で行ける距離だったのが驚きだ。
その為、亮介がひなに異常な程過保護になってしまったのだが。
亮介の住んでいるアパートの部屋の前に着くと、その場にひなが座り込む。
膝を両手で抱え、顔を俯せて座り込むその姿は酷く小さく見える。
が、そこにひなが居ることに気付く人はいない。
そのまま時間だけが過ぎていく。
パタパタと聞こえてくる足音にひなは何度か顔を上げたが、未だ亮介は帰ってきていない。
鞄からスマホを取り出して時間を確認すれば、既に夜の9時を回っている。
3年前でも仕事は忙しいと聞いていたが、この3年という年月の間に、もしかしたら更に忙しくなっているのかもしれない。
5月ということもあり、やはりこの時間は寒さがひなを襲う。
ヒューッと真っ暗な中を通り抜けていく冷たい風にブルッと身体を震わせた。
ひなが寒さから身を守ろうと、更にギュッと身を縮めようとしたその時、
タンタンタン。
という軽快な足音が近付いてくる。
誰か来た!
きっと、……亮介だ。
何の根拠もない。でも、ひなはそう信じて疑わない。
足音でさえ亮介の事を知っているとかなんかじゃなくて、ただただそう思うのだ。
間違いなく亮介だと。
顔を上げて足音が聞こえてくる方へと目を向ける。
真っ直ぐ続く廊下と、曲がり角が見えるこの場所。
角を曲がって来た時、相手の顔が見える。