仲良し8人組
その言葉と共にひなの目からポロポロと涙が溢れる。
自己紹介を言わなきゃならないと頭では理解していても、亮介を目の前にしたら言えなかった。
言わなきゃならないことよりも、自分の気持ちが溢れ出た。
亮介に助けて貰うために来たのは間違っていないが、おそらく今のひなの発言は失敗…になるのだろう。
自分の家の前で涙を流して『助けて』と言う見知らぬ女。
警察に通報されるのが普通だ。
ただ警察が来たとしても、ひなは見えないのだから捕まる事はないのだが。
亮介の真っ直ぐな視線がひなを貫く。
ゆっくりと開かれる亮介の口が怖い。
その口を開いて何て言われるんだろう……?
暴言が飛んでくるんだろうか?
それは凄く、……凄く辛い。
そう思っていても目を離す事が出来ない。
だが、ひなの予想に反して亮介の口から出た言葉は、
「ひ、……ひな?」
というもの。
困惑気味に右手で頭を抑えている亮介から出た言葉は明らかにひなの名前だ。
ただひなの記憶がない亮介がひなの名前を口にするのか?という疑問からひなからは驚きの声だけが漏れる。
「えっ……」
「あっ、…えっ!?……ひなだろ!?」
「えっ?」
ひなだと確信したのか、ひなへと向かってタンタンと歩を進めてくる亮介。
今の状況が理解しきれない。
「な、……何で?」
呆然としているひなとは打って変わって、亮介は満面の笑みでひなへと近付いてくる。