仲良し8人組
「えっ…!勝也と明が抜けてるよ!」
その後に、冗談じゃないよね?と苦笑して言うも、亮介は考える様に首を傾げたまま。
「……勝也と明?」
「そうだよ。勝也と明だよ」
「勝也と明って、…誰?」
亮介のその言葉で時が止まったかのように声が出ない。
何で……、何で亮介は勝也と明を知らないの?
勝也と一番仲が良かったのは亮介なのに。
明の事だってよく気にかけていた筈なのに。
ひながそう思っても、目の前にいる亮介は本当に勝也と明を知らないみたいにうーん…と首を捻っている。
「ま、馬渕勝也と中津明だよ!亮介、忘れたの?」
亮介へとグイッと顔を近付けるが、亮介も困った様に眉を下げる。
「忘れたって言われても、その二人の名前を聞いた事も無いけど」
「それ、…………本当?」
「悪ぃけど、本当だ」
聞いた事も無い。
そんな筈無いのに。
ずっと仲が良かったのに。
特に勝也と亮介は、高校に入っても、亮介が仕事を始めてからも二人でよく遊んでいたんだ。
なのに、亮介が勝也の事も明の事も知らないなんて……。
「う、……嘘」
思わずひなの口をついて出た言葉は亮介の言葉を否定するもの。
いくら亮介の言っている事でも信じられない事はある。
それでも、ひなの言葉に動揺するでもなく落ち着いたまま口を開く亮介は、こういう場面に慣れているかの様だ。
「俺には6人で集まって、騒いで帰ったっていう記憶しかない」
落ち着いてそう言い切られてしまうと、もう嘘だなんて言えなくなる。
それが真実なのだと思わされる。