ばいばいの笑顔
とりあえず10分待ってもらうことにして、急いで部屋に戻って髪を結ぶと、大慌てで靴下を履いて、カバンを掴んで部屋を出た。


「優くん、待たせてごめんね!…お母さーん、行ってきまーす!」


結局、いつもより15分遅い出発。
いつもが早めに登校しているだけだから、別に急がなくたって時間には問題ない。
むしろ、ちょうどいい時間に着くはず。



問題なのは、今、この状況。



「どっか悪いの?」

「へっ?…ぁ、いや…うん…」


は、話しかけてきた!!!


「大丈夫なの?俺が迎えに行ったからとか気にすんなよ?調子悪いんならちゃんと休め?」

「ぁ…大丈夫。もう大丈夫」


全っ然大丈夫じゃないけど。
なんなら、本当に胃が痛くなってきてるけど。


「そ?なんかあったらちゃんと言えよ?」

「誰に?」



無意識に、即座に、そう答えてしまっていた。



「俺」



そしたら、ごく普通に、そんな答えが返ってきた。

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