ミク。
冬の中に、こんなにも綺麗で温かなモノは知らなかったという気持ちが広がってゆく。彼の小さな身体中に詰まったいっぱいの【好き】は全て自分に向けられたモノで、不純でも無く、強引にでも無く、ただ本当に純粋な想いによる告白だったから、とても嬉しくて、とても苦しくて………けれどそれは、とても幸せで、こんな奇跡を自分の傍に置いて一生味わえるのなら、自分は一生この子を大切にし続けたい。と、思い、こう言った。

「なら、春じゃない魔法の名前でも良い?」

【…それって、冬が考えてくれて、毎日私を呼びたいって思う名前?】

「そうだよ。」

それを聞いた春が、嬉し過ぎて泣きそうな表情を造った時、ふわり。と、白く輝く何かが二人の間に落ちてきて、そのまま自然な流れで見上げたら空一面が真っ白な大きな雲で覆われていて、粉雪がチラチラと降りだした所だ。

【私…】

春は雪を見上げたまま、お気に入りの腹黒執事ポーチのチャックを開けて中身をそっと取りだしながら澄んだアメトリン色の瞳をうるうる潤ませながら小さく、囁いた。

【名前欲しい。冬が考えてくれて、毎日呼びたいって思える名前、冬につけて欲しい。】

「じゃあ、つけてあげる」

【ほんと?】

冬は、そんな彼を頂上まで連れていってあげながら優しく、だが、甘い独占欲が含まれた声音で新たな名前を奏で、彼に掛けていた恋の魔法を完全に完成させてしまう。
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