ミク。
「~陽菜。これからは陽菜だよ?僕のシンデレラ」

…ひな…。と、呼ばれて、ツリーの頂上で頬を撫でられて、ゆっくりとその細くて、長くて、なんというか色っぽい手に囚われながら陽菜と呼ばれた春は瞳いっぱいに溜め込んだ涙をポロポロとさせながらその意味を静かに聞いた。

【ひなって、どうして?私…ヒヨコに見える?】

「あははははっ!泣かなくて良い。ヒヨコじゃないから、」

【…‥?…‥じゃあ?】

「そのままつけたんだ。だって、この長い髪、陽の光を浴びてキラキラ輝く花よりキレーだし。初めて会った時、僕にくれたのは菜の花だった。でも、菜の花なんかより可愛い。小さくて、キラキラしてて可愛い。この菜の花の香りも…。だから、陽菜。だよ?」

【わぁ!ふゆーっ!!私っ!嬉しくて今日眠れないーっ】

「あはははっ!」

陽菜になった春は、どう考えても笑ってしまうぐらいハシャぎ回って回って冬を腹の底から笑わせ、だが、ここまで素直に喜ばれると、それをしてあげた側の方こそ嬉しくて、益々好きになってしまう魔法を無意識に、彼にも掛け返していた。そして、

【じゃあ、ねぇ冬、陽菜は冬をユキって呼んでも良い?】

「良いよ。陽菜は雪が大好きだしね」

【ちーがーうーよぉ!】

そして、更に大きな恋の魔法を目前の彼に掛け、虹色のツリーやツリー並木通りよりもキラキラ輝く黄金で包み込んでしまう。
< 101 / 171 >

この作品をシェア

pagetop