ミク。
【ねぇユキ、あの…お願いしても良い?】

約三十分後、次週放送のあらすじを見てからテレビを消したものの、まだ微妙に余韻から抜け出せず自分にセヴァを重ねて見ているらしい陽菜から声をかけられたユキは今日放送した内容から余裕で何を言われるのかを予想したが、一応試しに聞いてみる事にする。

「なに?」

すると、やはり予想的中。思った通りの事を云われ、変なお願いの仕方で誘われてしまう。

【…ユキ、命令だ。今夜はここに居ろ。添い寝しながらボクを守れ。…‥って!ゆぅお願いの命令しても良い?】

「‥クっ…はははっ!」

深夜だ。テレビを消したんだから堪えなければ。と、頭では危惧出来たものの、感情があるというのは時に迷惑なもので、通常夜は用事が何も無い限り静寂の中で眠り続けたい派の珠里夜を笑い声で起こしてしまい、年長者代表としてユキがイライラしながら布団から起き出して来た彼女から脳天をお手製のハリセンで力任せに叩かれ怒られる。
 …‥スパァン…!!?

《アニメ終わったくせにイイ加減にせんか貴様等ァ!特に冬!アンタでかいくせに何やってんだ殺すぞコラ!?夜は何事もねぇ限り静かにしろっつッてんだろォが!!!春は次やったらテレビ叩き壊して捨てて追い出す!冬とは義姉の縁を切る!嫌なら今すぐ黙ってとっとと寝ろガキ共!!》

この世の何よりも恐ろしい光景の一つであろう一度寝た珠里夜を深夜に起こす行為。これと言ったら口調は最悪だし、その形相は説に屈しがたく到底説明出来るモノでは無い。だからこれ以上の悪化を恐れる二人の少年は逃げるように居間の布団の中へ固まって無言で逃げ込んだ。
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