ミク。
「…なんの話、してるんです?」

地に足をつけながらそう云って冷めた漆黒の瞳で睨みつけ、飛び散った血がこびり付いている美貌を向けた彼を前にするなり、先刻の腹立たしいまでの勢いは何処へやら、彼の今の姿に彼女等は三人共身を縮めて震えあがり、血の匂いがする彼を嫌悪する。

「今たまたま通り掛かったんで何かと思えば。…ハッ!どういうつもりなんです?僕の昔の育母に馬鹿げた言い掛かりですか?」

(っ……)

{…っ…}

〈……ッ!〉

「あれは台風だったんで雨宿りさせて貰っただけですよ。普段は遊び歩くのが忙しくて、こんな所…なんの為に来るしか無いんだか?まず、メリットが無い。だからさっさと貴女方は家に帰って下さい。僕はまだ遊び足りないんで適当な相手を捜す…‥。っ…、帰りたくなりゃ帰るから、さっさと行けよ!!?」

悲痛に怒鳴る彼に嫌悪と恐怖を浮かべ、未だしどろもどろしているソイツ等に…‥もぅ‥我慢できない!!!と、ブチりっ!?とマジ切れを起こした陽菜は怒りに任せてその場にだけ毛虫を心で呼んで発生させ、彼女等の頭上や服全体にペタペタうじゃうじゃ付きまくるように指示をしてから云い放つ。

「失せろ馬鹿共!お前達にユキの何が分かる!ユキは絶対に二度と帰らないようにするし、私が守る!!だから消えろ!消えないなら次は毒蛇を呼ぶからッ!!?」

と、云う間も無くザワザワザワという不気味な音が一面に広がると、近くのガサヤブから本当にマムシやらハブ、ヤマカガジやらコブラなどの毒蛇が姿を現した為、彼女等は何より先に我が身が一番だと云わんばかりの突風になってその場を瞬時に去って行ったのだった。
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