ミク。
【ユキ…】

やっとの事で彼の名前を呼ぶと、彼の手がゆっくり、優しく、少し凍え始めた陶器色の頬に触れてきて、そこを魔法のように触れた所から薄紅色に染めてゆく

「‥陽菜。」

それをするユキは自分よりずっと幼く、誰よりも純粋なんだろう彼に、まだ視る事の出来ない遠すぎる未来を誓って欲しくて、不安を隠した熱い吐息混じりの台詞を口にする。

「いつか、大きくなって、正式な神名貰っても、僕を好きだって云える?」

【~うん。】

「‥じゃあ、僕がどんな事されてても…嫌わないって誓える?」

【うん。当たり前だよ!だって私、きっとユキのお嫁になるんだから。】

ハッキリと返された迷いが何一つ無い真っ直ぐな彼の視線と誓い。これが、この時のユキにとって、どんなに嬉しく力強いものだったのかは云うまでも無い。
ユキは、今の自分の精一杯を伝えたくて、彼の唇に自分のそれを重ねる事で全てを注ぎ込もうとする。

【っ!ッ…‥】

ユキは、思う。同じ男の子同士だから、いつか本当に一緒になれたとしても、女の人と同じ事はきっと出来ない。だから、この子とはキスしか出来ないんだろうな…‥。けど、他人にはされたく無いし、したいとも思わない。本当にこの子だけだから…だったら、いつか本当に一緒になれた時は、この子の全部にキスがしたい。それで、僕の全部にキス、して欲しいな…。と。
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