ミク。
丁度その時、少し強い風が吹いてきて、目前で精一杯の告白をしてくれた彼のちょと長めに延ばしているストレートな前髪をそいつ等がいたずらに掻き分ける。すると、以前見た時はパール色に輝いて額の中心にあった小さなダイヤ形の石のようなものが、パール色では無く、桜の華を思わせるローズクウォーツ色になってそこに有る事が分かった。そして、もう一つ、分かった事が有る。
それは…。

【私、あの時…、あのヤなオバサン達見た時‥本気で思ったんだ。どうしてもユキを守りたいって!】

「…‥‥‥」

【ずっとずっとどうしても傍に居て、一緒に同じモノを見て、泣いたり笑ったり、ずっと一緒にしていきたいって!だって…‥だって…、こんなに好きなんだもんっ!】

彼の、陽菜の好きがこんなに真っ直ぐなのは、彼が太い一本筋が入った男の子だからなんだ。と、良く分かった。

「~やっぱり、陽菜は」

大抵の女なんて、一目惚れだの、美しいから欲しいだの、慰めて欲しいだので自分に近づいて来る。けれど、討伐なんかに出て血の匂いをさせて帰って来ようものなら一瞬で怯えた眼で遠巻きに見つめてくるか、嫌悪の表情を造る。その上自分達で勝手に私が先だのなんだのと潰し合って入れ替わったり、軽薄だ。その点男は違うが、それでもごく一般の奴等は割り切りを望んだり、飽きたら交換。なんて軽いのが多い。だが、そこに一本筋が入った彼のような男なら、違う。と

「女の子より可愛くて、その辺の男の子より、カッコ良いよ。」

ユキは、そう云うと、次は自分の唇にキスをして欲しいと誘惑し、その色と気持ちに誘導された陽菜は恐る恐る従い、やがて白い夕闇が二人を静かに包み込んだ。
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