ミク。
するとそこへ、恐る恐る二人の様子を伺っていた小さな誰かが何かを手に近づいて来て、無言で両手をずいっ!と自分の前に突き出した。その手には、季節外れも良い所だと思える菜の花が一輪。

【あ‥‥あのっ…あのねっ!】

自ら話し掛けた事が恥ずかしいのか?卑しさからでは無い頬の赤らめ方をして、うるうると澄んだアメトリン色の瞳を潤ませて、精一杯に云って来る。

【これあげるから、泣かないで…ね!?】

しかし、泣かないでと云った本人がもぅ既にポロポロと涙を溢してこっちを見上げている。それが、なんだかもぅ、可笑しくて可笑しくてつい、声に出して笑ってしまった。

「ぷっ‥‥‥‥っ、はははっ!ありがとぅ。姉さん、この女の子だれ?」

と、手渡された華を受け取りながらその華よりも輝く黄金の金糸の長い髪を持つその子と、大好きで絵に描いたよりも美しい珠里夜に視線を向けながら聞いてみると、下界の人間で云うとまだ9歳、前後に見えるその可愛い子は白くて細い膝を折って地面に弱々しくしゃがみ込むと、突然大声をあげて号泣し出したのだ

【ン‥‥‥ぅええええええんっッッ!!!!】

「なにっ!?」

急な展開に冬が驚いていると、珠里夜が大きく溜息をついてからこう教えてくれる。
< 54 / 171 >

この作品をシェア

pagetop