ミク。
だが、その姿は男の子というよりも、内気な女の子が嬉しがって心の中だけでキャッキャッと興奮しているようにも見えたが、そうは云わず、泣かせないようにこう答えてあげた。

「うん。きっと女の子より可愛い、良い男の子になるよ。」

仮にも第三者からすれば完璧馬鹿にしているような言い回しだが、春はとても大喜びですぐ目前の冬まで走り寄ると抱き付くのでは無く、その小さくて可愛い顔いっぱいに満面の笑みを宿しながら丁寧に頭を下げて、短く、こう云った。

【大好きですっ!】

これが、いずれ悲しい運命に翻弄される事になる二人の出会いで、始まりだった。もちろん幼い二人の少年は知らなかったが、この日、この時、この場所で二人が出会った事は決して偶然では無く、大好きな育母珠里夜によって仕組まれた必然的出会いだったのだ。

【ねぇねぇ】

「ん?」

【今から、私と一緒に遊んでくれる?】

さっそくなついたオーラを全快にしながら見上げて来て、神衣の長い腰布をクイッと遠慮がちに引っ張って来た春の為に一度屈んで眼を合わせると、冬は答える前にそっと彼の柔らそうな頬に触れてみた。頬は、やはり思った通りプニプニで柔らかく、とても男の子のものとは思えない感触だ。が、その瞬間、顔と云わず、耳先の端の方まで赤く、真っ赤にして大慌てで放れて珠里夜の物陰に隠れてしまった小さな子が約一名。
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