ミク。
「なんですかコレ?」

冬は漆黒の瞳を見開いて声を大きくしたが、珠里夜は深紅とアメジスト色の瞳を軽く閉じながら一言、

《存じません。》

とだけ云って来た。冬はとりあえず一度、…つん…。とそのパール色の石のような物を触ってみたが、その感触はどう考えても石の固さで、石の冷たさなのだ。だが、何故こんな所に石?しかもパール色?しかもダイヤ形?……………ん~………。と小首を傾げずにはいられない様子の冬に珠里夜は何気なく持っていた湯の入っている桶とホットタオルを渡し、

《後は頼みますね。私は夕食の支度と御風呂の準備がありますから》

なんて云って台所にスタスタと行ってしまったので、つまり…という事は、自分が続きを拭いてあげるという事?と、自分以外の他人の身体なんか一度も拭いてあげた事が無い冬は少々困惑がちになりつつも、言われた通りとり合えず続きをしてあげる事とする。

【っ、ん‥‥】

人一倍感受性が強いせいなのだろうか?時折ピクリと反応したり、手を当てて拭いてあげた場所によっては可愛くて甘い声を溢してくる。…‥それに、

「……………」

それに、血色が戻って来たからなのか?ここに着いてすぐ気を失った時はただの病弱な肌の色をしている気がしたが、今こうして生まれたままの姿にさせられて目を閉じている彼の肌の色は少しだけ違って見える。
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