ミク。
【あ…あの、冬】

「ん?」

【‥っ……!?】

「なに?春」

【…ううん!いい!】

冬の溜息を耳にして、ふと彼を見つめて話し掛けようとした春は急に胸が熱くなって、次第にドキドキと高鳴る鼓動に自分でも驚きながら下界の人間でいうと十八歳、前後の姿に成長している彼から慌てて視線を反らし、頬を僅かに赤らめた。……今朝、初めて一緒に入浴をして、その時には既に彼は今の姿だったけれど、その時は別の事や色々が気になっていて、今のようにはならなかった。しかし、台風が姿を消して美しい夜景が広がる外を初めて堪能させて貰えたせいだろうか?それとも、色とりどりのクリスマスツリーが数え切れないくらい沢山立ち並ぶ通りを空高くから見下ろしているせいだろうか?…分からない‥‥けれど、息苦しいくらいドキドキしっぱなしだった春が今一度彼をアメトリン色の瞳に映し、何かを確かめようとした丁度その時、彼に先に声を掛けられてしまう。

「ついたよ?願いのツリー。」

その言葉にはっ!として春は間近にある一本の巨大なツリーを見上げてアメトリン色の瞳を大きくする。
それは天上界最大級とうたわれている物で、詳しい事は分かっていないが、天界、下界、地獄の中心地点に生えている為、この一本だけが虹色をしていて最大級の高さや大きさをしていると噂され、頂上に願いを書いた色紙を結ぶ事が出来れば願い事が叶うという迷信まであるツリーだ。
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