そっと鍵をかけて。
マグをおいて、ひとつ袋を取った。
お風呂場と洗面所の排水口をチェックして、家中の床を掃除する。
もちろんラグには念入りにコロコロで掃除して、ベッドの下まで抜かりなく。
ベッドサイドのゴミはもちろん、ムスクの香りだけを纏って眠る私の香りが染み付いたシーツも。
2ヶ月前のファッション雑誌に、並べられていたハブラシの片方。
カラになった赤いマグも、綺麗に洗って袋へ。
「ーーよし」
彼が嫌いなケチャップも、なくしたと思ってたピアスのキャッチも。
全部が入った袋を持ち上げて、苦笑する。
私と彼との繋がりなんてこんなものだ。