そっと鍵をかけて。

マグをおいて、ひとつ袋を取った。


お風呂場と洗面所の排水口をチェックして、家中の床を掃除する。

もちろんラグには念入りにコロコロで掃除して、ベッドの下まで抜かりなく。

ベッドサイドのゴミはもちろん、ムスクの香りだけを纏って眠る私の香りが染み付いたシーツも。

2ヶ月前のファッション雑誌に、並べられていたハブラシの片方。

カラになった赤いマグも、綺麗に洗って袋へ。


「ーーよし」


彼が嫌いなケチャップも、なくしたと思ってたピアスのキャッチも。

全部が入った袋を持ち上げて、苦笑する。


私と彼との繋がりなんてこんなものだ。




< 8 / 29 >

この作品をシェア

pagetop