グッバイ・メロディー
飲みかけのままのほうじ茶をシンクに置きに行き、戻ってきた彼女の手にはおなじみの缶チューハイが握られていた。
「ていうか、季沙はどうなのよ?」
「どうって?」
「いっつも人の心配ばっかりしてるけど。そろそろ洸介くんとどうにかなってもいいころなんじゃない?」
どうにか、
と言われても。
どうもこうも、こうちゃんとは相も変わらず、なんの変哲もない毎日をいっしょに過ごしている。
時折わたしがすねる頻度はビミョーに増えた気がするけど。
きょうだって、クリスマスイブなのにいっしょに夜ごはんも食べられないってどういうことなのって、ついおととい、へそを曲げてしまったばかりだ。
「このままなんとなくでずるずるいくより、はっきり言葉にして、見える形にしといたほうがいいんじゃない? 群がってくる女に対して“幼なじみ”はぶっちゃけなんの効力もないと思うよ」
ぜんぜんなにを言われているかわからず、ぽかんとするしかないわたしに、みちるちゃんは缶を口に近づける手をピタリと止めた。
「……ねえ、ちょっと待ってよ、季沙って洸介くんのことほんとにどう思ってるの?」
とても信じられない、みたいな顔。
「いまさら好きじゃないなんて言わないよね?」
「こうちゃんのこと?」
「そうだよ!」
「こうちゃんのことは世界でいちばん大好きだよ?」
「いや、だからそうじゃなくってさ……」
左右に泳ぐ瞳を追いかけていると、数秒後、強い意志のありそうなダークブラウンとばっちり目が合った。