グッバイ・メロディー
だって、こうちゃんは、季沙だけのこうちゃんでしょう?
これまでもずっとそうだったでしょう?
だから、これからもずっとそうなはずでしょう?
こうちゃんを好きな女の子が現れたら。
こうちゃんに好きな女の子ができたら。
もし、ふたりが恋人どうしになったら。
「そしたら……わたしは、どうなるの?」
「だから言ってるでしょ。“幼なじみ”なんてなんの効力もないって。季沙は洸介くんの『2番目以下』になるんだよ」
そう、わたしはどうしようもないほど、単なる幼なじみで。
ただお隣に生まれただけの。
いっしょに育ってきただけの。
本当は、特別でもなんでもない。
こうちゃんは、これまでのどの瞬間も、わたしのこうちゃんだったことなんてなかった。
「季沙、泣きそうな顔してる」
そんなことを言われたら急に鼻の奥がつんとする。
苦しい。
上手に息ができない。
切なくて、せまくて、きゅっとする。
そうか、わたしはもうこんなにも、泣きたいくらいに、こうちゃんに恋をしているんだ。
ぜんぜん気づかなかった。
こうちゃんのことをずっと大好きで、そんな気持ちはとても、とても当たり前だったから。
“好き”の意味を考えたことなんて、一度もなかったよ。