グッバイ・メロディー


壮行会というか、謝恩会というか。


地元のバンドマンたちでミスターグリッターに集まり、ほとんどお客さんのいない内輪だけの遊びみたいなライブをするんだという話は、前々から聞いていた。

なんとあの関谷マコトさんも駆けつけてくれるらしい。


みちるちゃんと衣美梨ちゃんは、当然、行くって。

はなちゃんも、ダメ元で誘ってみたら、受験の息抜きにおじゃましようかな、と言ってくれた。

もちろんわたしも行く気マンマンだったよ。


直前になって決まった、その日程を聞くまでは。



「1月29日?」


聞き間違いかと思ってくり返す。

こうちゃんは膝の上に乗せているアコちゃんをいじりながら、うん、とあまり感情のこもってなさそうな返事をした。


「なんでその日なの?」


意図せず、どうにも語気がつんけんしてしまう。

ずっとギターに落とされていた視線、それをこうちゃんがふらりと上げて、怪訝そうにわたしを見た。


「全員、予定なかったから」

「ふーん。こうちゃんもその日、予定ないんだ」

「うん、特に……」


本当に最低。

忘れちゃってるなんて、最低。


覚えているけど特にそういうのは気にしてない、とかじゃなく、本当に忘れちゃっていそうなところが、本当に最低。


1月29日は、わたしがこうちゃんに「好き」と伝えて、こうちゃんが「俺も」と言ってくれたあの日から、ちょうど1年なのに。

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