グッバイ・メロディー
ああ、わたしって本物のバカだ。
なんてことをしてしまったのだろう。
こんなふうに後悔するくらいなら、変な意地なんか張らないで、素直についていけばよかった。
わたしがやっぱり行きたいと言えば、こうちゃんはきっとぜんぶ許して、それどころかきっととてもうれしそうな顔をして、いいよと言ってくれていたはずなのに。
「あらーきっちゃん」
ちょうどよく、これからお仕事に向かおうとしている清枝ちゃんと、瀬名家の玄関で鉢合わせた。
弾むような明るい声が顔面に飛んできて、わたしはどんな顔をすればいいのかわからなかった。
だって、清枝ちゃんは、いまこうちゃんがライブハウスに出かけていることを知っているはずだ。
それなのに、ここにわたしがいて、きっと変に思うだろう。
「いらっしゃい。洸介、いまいないけど」
「うん、知ってる……」
いきなり核心を突かれて、ちゃんとしゃべれているかもわからない。
「ね、きっちゃん」
うつむいている頭に困ったような声が落ちてきた。
はっとして顔を上げる。
生まれたときからわたしたちを見てきたその人は、すべて見透かしたような目をして微笑んでいた。