グッバイ・メロディー


薄っぺらい液晶の電源を落とし、もとの位置に戻すと、今度こそ冬の夜空の下に飛び出した。

瞬間、ちらちらとかわいい雪が頬に舞い落ちてきた。


ここらは真冬でもあまり雪が降らない。

だから、とてもきれいな、白いちっちゃな妖精たちが、背中を押してくれているような気がした。

きょうは特別な夜だよって、きっと言ってくれているんだって、我ながらあまりにも都合のよすぎる解釈。


お気に入りのネイビーのキルティングにムートンブーツを合わせたら、ザ・ガキンチョという感じの身なりになってしまったし、走っていると全身が燃えるように熱くなってしまって、これは完全に失敗だったと後悔する。

だけど引き返している余裕も時間もない。


ミスターグリッターに到着するころにはもう汗だくで、しかもライブは完全にお開きとなっていて、へなへなと座りこみたくなった。


それでも、笑顔ばかりの人を吐きだしている扉にむかって流れを逆走した。

なんとなくいまは、一秒でも立ち止まったら、気持ちが折れてしまう気がしたんだ。

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