美狐はベッドの上で愛をささやく
「そんな!! そんなことないです!! 倉橋さんはわたしを助けようと一生懸命尽くしてしてくれました。感謝こそすれ、憎む気持ちなんてありません!!」
倉橋さんの言葉に、ブンブンと頭を振れば、目から溢れた涙が散っていくのが見えた。
そんなわたしを見た倉橋さんは、眉尻を下げて微笑む。
その笑顔はとても悲しそうで――……。
倉橋さんは根っからの優しい人なんだと、あらためて実感した。
「ありがとう……だけどね、自分の無力さに呆れてしまうよ。清人さんを殺したのは君じゃない。私だ。あの時……清人さんが君の身代わりになるという提案を呑まなければ、こうはならなかった。あのままでは君が命を落としてしまうと判断してしまったのが悪かったんだ」
『身代わり』
――ああ、やっぱり父はわたしが殺したんだ……。
倉橋さんが言ったその言葉で、わたしは自分の罪を理解した。