美狐はベッドの上で愛をささやく

…………寒い。





体も……心も……凍えそうなくらい寒い。


もう、誰もわたしを必要としてくれない。


そう思うと、胸が苦しくなる。



だけど、涙は出ない。

だってわたしは捨て子。

実の両親からもいらないと言われた子。

はじめから、誰にも必要とされていなかったことを、わたしは知っている……。





わたしは冷たい視線と言葉を浴びせてくる父の家族たちに否定も肯定もせず、背を向けた。


「人殺しの顔も見たくない。とっとと消え失せろ!!」


和夫さんの冷たく凍った刃のような言葉が、わたし胸を深く突き刺す。





わたしは、彼らが言うとおり、無言でその場を後にした。




外を出ると、街灯はほとんどなく、夜道は暗い。


ここは高い山々に囲まれた場所――。


地面はコンクリートで覆われている都会とは違い、小石が砂道を覆っている。


それに、一歩脇道に逸(ソ)れれば山の中……。


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