美狐はベッドの上で愛をささやく
わたしがそう思ったのは、この家のチャイムが滅多に鳴ったことなかったから……。
わたしが首を傾げていると、紅さんは落ち着いた様子で、手にしていたフライパンから今ちょうど焼き上がったホットケーキを用意しておいたお皿に移した。
「来たようだね」
紅さんにはチャイムを鳴らした人が誰だかわかっているみたいで、ひと言そう言うと、リビングからまっすぐ延びる廊下の先にある玄関へと進んでいった。
わたしも慌てて紅さんの後に続くと、玄関の扉を開けた先には――25歳前後の男の人と、わたしと同じくらいの年齢かな?
とても可愛い女の子が立っていた。
「よく来てくれたね、とても嬉しいよ」
紅さんはそう言うと、2人を玄関に通した。
「俺にもお役に立てることがございましたら」
男の人の背は、180センチはあるかな?
わたしよりもずっと背が高い。
紅さんと同じくらいの身長だ。