美狐はベッドの上で愛をささやく

赤茶色の……綺麗な瞳が、わたしの見窄(ミスボ)らしい顔を映し出す。




その瞳はとても綺麗で、わたしの息が止まる。

逃れようと伸ばした手は、わたしに覆い被さってくる、その人の服を掴んでしまう。



その人は、わたしの行動を同意と受け取ったのかもしれない。


口をまた塞いでくる……。



キス、されているんだ。


それを実感すると、全身が震えた。



離れなきゃいけない。


わたしは、相応しい人間じゃないから……。

そう思うのに、

わたしの手は――――。

体は――――。


心は――――。


それを拒絶する。



離れたくないと、『わたし』が言う。




「…………ん」

目を完全に開けることも、閉じることもできないわたしの目と鼻の先には、綺麗な彼がいる……。



違うのに……。

こんなこと、して欲しくないのに……。




わたしの気持ちを知らない彼は、さらにわたしを攻めてくる。


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