美狐はベッドの上で愛をささやく
わたしは、自分の体に巻き付けている毛布を強く握り締めた。
そんなわたしをよそに、紅さんは軋(キシ)んだ音を立ててベッドの上に座り込むと、湯のみを差し出した。
「?」
紅さんから差し出された湯のみへと視線を移動させた後、握りしめている毛布を外し、差し出された湯飲みをほぼ反射的に受け取った。
「飲んで」
紅さんに促(ウナガ)されるまま、湯のみを口に近づける。
匂いを嗅げば、生姜のツンとした匂いと一緒に、まろやかな甘いハチミツの香りが鼻腔(ビコウ)に漂ってきた。
だから手渡された湯のみの中に入っている液体は生姜湯だってわかった。
ほんわかとあたたかい湯気が、わたしの喉を潤してくれる。
この香りを嗅ぐだけで、心が穏やかになる。
とても優しい香り……。
「少し熱いからね、気をつけて」
紅さんの気遣う声と一緒に、湯のみに口をつける。