美狐はベッドの上で愛をささやく
「……フフッ」
ふたりのやり取りがとても可愛らしくて、思わず笑ってしまった。
「ふたりとも、わたしの美しい紗良を独占するのはやめてもらえないかな?」
ガバッ!!
突然、ドアのあたりから紅さんの声が聞こえて見上げれば、白のシャツに身を包んだ紅さんの姿があった。
赤茶色の瞳がわたしの姿を捉(トラ)えると、真っ直ぐこっちへ向かってくる。
ここには真赭さんや生成さんがいるのに、まるで空気のように、紅さんは、ふたりとは目を合わせもしない。
わたしの目と紅さんの目が合えば、ドクンと跳ねるわたしの心臓。
そして、体が熱をもつ……。
「紗良、おはよう」
「おはよう……ございます」
昨夜も、紅さんとは何回もキスをして抱きしめられたのに、やっぱり紅さんは穏やかな表情で……まるで純真な天使みたいに微笑みを絶やさない。
だけどわたしは恥ずかしい。