美狐はベッドの上で愛をささやく
「服装のこと、まだ気にしておられるのでございますかっ?」
生成さんに言い当てられて俯(ウツム)いてしまうと、顔を覗き込まれてしまう。
「お気になさらなくとも、紗良(サラ)様は十分お美しゅうございますよ」
みんな、そうやってわたしの見窄らしい容姿を褒めてくれる。
だけど、わたしは知っている。
わたしを傷つけまいと、褒(ホ)めてくれているっていうことを……。
紅さんだって、きっとそう。
もしかしたら、今は紅さんの魂の伴侶っていうフィルターがかかっていて、わたしの姿が見えていないだけなのかもしれない。
だって、わたしの髪の毛は灰をかぶったみたいな汚い色をしているんだもん。
そりゃ、好きな人や好きな人の家族に、面と向かって見窄らしいって言われら、やっぱりショックだけれど……。
でも……本当のことなんだから、しょうがいないよ。
それでも、気持ち悪いとはけっして言わないみんなの優しさがとても嬉しい。