美狐はベッドの上で愛をささやく

倉橋さんの大切な女性(ヒト)を、生き返らせる手伝いができる。


人を傷つけたり殺めたりするんじゃなくって、倉橋さんの大切な人を生き返らせる役目を、わたしが……。




だったら……それ以上にいいことはない。




コクン。


わたしは迷うことなく、うなずいた。


「いいのかい? 私の願いは……つまり。君の命を奪うことなんだよ?

理解できているかい?」


倉橋さんは目を大きく開けて、簡単に承諾したことを驚いているみたい。

何度も何度も、確かめてくる。




変なの。

倉橋さんがお願いしてきたのに、そうやって確認してくるなんて。


それがなんだかおかしくて、思わずクスリと笑ってしまった。




……そんなこと、もう知っている。


それなのに、律儀(リチギ)な倉橋さんは、わたしにすべてを打ち明けた。


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