美狐はベッドの上で愛をささやく

*・゚☆。・*たましい。*




 . ゜
。 。
 。





ここは倉橋(クラハシ)さんの家からさらに遠く離れた、人が滅多に通らない深い洞窟。


ひんやりとした空気が緊張感をさらに引き立ててくる。



倉橋さんの腕に抱きしめられている女性は、数年前に亡くなったというのに、今もなお、腐敗(フハイ)していない。

真っ白なワンピースを着て、まるで眠っているかのように存在していた。

その女性こそ、倉橋さんの最愛の人だ。



倉橋さんは、横抱きにしている女性を、冷たい地面に寝かせた。

薄暗い洞窟の中ではよく見えないけれど、オレンジ色のロウソクに照らされた肌は絹のようになめらかで、とても綺麗。


高い鼻梁(ビリョウ)と小さくてふっくらとした唇や頬は、ロウソクの明かりで陰影をつくっている。


年齢は、倉橋さんよりも一回りくらいは下なのかな。


もしかすると、ショートカットの短い髪が余計に年齢を若く見えさせているのかもしれない。


< 333 / 396 >

この作品をシェア

pagetop