美狐はベッドの上で愛をささやく

鎖はどこか遠くの方からずっと繋がっていて、ピンッと張っていた。


どうやらこれ以上は進めないらしい。




それでも懲(コ)りないわたしは、勢いよく前に踏み出し、鎖ごと引き千切ろうと試してみる。

だけど、生身の体が鉄でできた鎖に勝てるはずがない。

体は前のめりになり、地面に倒れ込んだ。


バタンッ。


「……っつ!!」

両手をついたから、なんとか顔面直撃は防げたけれど、勢いよく地面にぶつけた膝はジンジンと痛みを訴える。





「いたた……」


痛みを少しだけでも和らげるため、両膝を撫でる。


そのたびに鎖同士が擦れ合い、ジャラジャラと耳障りな音がする。



見えない場所から繋がれた鎖のおかげで、自由に動くことがままならない。



動くたびに聞こえる鎖の音と、ひんやりとした鉄が足にまとわりつく感触が気持ち悪い。




この鎖。

いったいどこからやって来ているんだろう?


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