美狐はベッドの上で愛をささやく

前に進めないなら、鎖の後を追って、後ろに進んでみよう。


わたしはピンッと張っている鎖をたどっていくことにした。



鎖に導かれるまま、しばらく歩いて行くと、何か細長い、塊(カタマリ)のようなものが視界に映った。




目を凝らし、塊の正体を探ってみる。


すると、人の気配を感じた。




いったい何だろう。




塊に近づき、顔を上げ、確かめる。


そうしたら、わたしの目の前に、ショートカットの女の人が、今のわたしと同じように――ううん。


わたしよりもずっとひどい。

細い体には鎖が目いっぱい巻き付き、がんじがらめされていた。




……どうして?

なんで、こういうふうになっているの?




わたしは目にした光景が理解ができず、ただただ鎖によってかんじがらめにされている女の人を見つめた。




だけど、あれ?



この女性。

……わたし、どこかで見たことがある?


どこだっけ?


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