美狐はベッドの上で愛をささやく

その羽衣を、倉橋さんはふたたび手にした大鎌で羽衣を薙ぐけれど、羽衣は裂けるどころか大鎌に吸い付くようにぴったりとくっついて離れない。




そうかと思えば、羽衣は紅蓮の炎へと変化し、

何もかもを燃やしていく……。




やがて炎は大鎌を包み込むと、倉橋さんの体さえも覆う……。


炎に包まれた彼は、視界から消えていく。



――そんな中、炎に包まれた倉橋の表情はけっして悲しみではなく、どこか微笑んでいるような、




そんなふうに見えた。


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